郊外奇想天外激臭体験
2/11水
今日は午後からLudvigの住んでいた場所(今は親だけ)を訪れる。
ストックホルム中央から北へ30分ほど。
30分行くだけでかなりど田舎。
雪に覆われた広大な空き地が広がる。
都心から1時間の大磯よりはるかに家が少ない。
スーパーで買い物をして、
Ludvigのお母さんの家で
お祝いの時にしか食べないというサンドイッチケーキなるものを作る。
彼女
作り方は極めて簡単で、
要するにサンドイッチをホールケーキの容器に入れて3重くらいにして作ったもの。
ケーキ版サンドイッチ。
最上段には野菜やエビ、サーモンなどをのせる。
独特なのはレモンがたっぷりのってること。
まぁまずいはずがない。美味しかった。
これなら俺も日本で作れる。
お母さんはとってもナイスな人だった。
外国人のためのスウェーデン語の教師をやっているらしく、
日本人を教えたこともあるとか。
そのため国際事情とかについて博識な感じ。
ウルトラ饒舌。
こっちもつられてよくしゃべった。
そのあとは近くの教会に行く。
小さいけど1200年代建立で、スウェーデンでもかなり古め。
側面と天井には物語形式で絵が描かれている。
静かで居心地がよく、結構見入ってしまって、20分くらいぼんやりしてた。
そういえばうちの隣にも教会あるのに入ったことないから
今度行ってみようかな、と思う。
さて、教会を出たあたりで日没。
スウェーデンは夕焼けが本当にきれい。
正直日本では見れないほど赤く染まる範囲が広くて美しい。
徐々に色がオレンジに変わり、沈むと紫に変わる。
美しいという単語がベスト。そんな空。
さて、日が沈みかけているのだが、これから面白いところに案内してくれるという。
ちなみにこれまで2日間ludvigといるのだが、彼の英語は少しこもっていて、正直聞き取れているのは話の6割くらいなのです。
ということで日が暮れそうなのにも関わらず、
隠れ家?どこいくのかな?みたいな感じで
何が何だかよくわからないままついていく。
さて、怪しさを感じ始めたのは
彼が道から外れて森の方へと足を進めたあたり。
あたりは一面雪。
歩くとスウェーデン渡航のために買ったスノーシューズにも雪が入ってくる。
小さい川を渡らなくてはならないのだけど、
橋がまるでイカダのようでスカスカ。
その上橋が雪に覆われてるからどこに穴があるのかわからない。
高いところとか危険なところはあまり恐れないタイプだけど、
落ちたら極寒の水の中だから
腰が引けながら渡った。
ようやくついた。歩くこと30分。
歩きながら話を聞いてるとどうやら防空壕を目指していたようで、
第一次大戦の戦火に備えてために作られたらしい。
日本の防空壕(の自分のイメージ)と違って、石造りで頑丈そう。
壕の大きさは肉まんで換算すると2万個くらいである。
ためらわず中に入っていくludvig。
彼にとっては子供の頃からよく知った場所なんだろうけど、
俺にとっては遠くスウェーデンの知らない街の道外れの森の中のしかも防空壕である。
しかもあたりは暗い。
素直に怖い。震えた。
橋を渡るときと同様に女々しさを発揮したけど、仕方なく入っていく。
中にはなぜか寝袋が5つほど置いてある。
壁にはよくあるスプレーの落書き。
だれかがこんなところで暮らしてるのかな。
犯罪のにおいがしてますます高まる恐怖。
Ludvigが進み続けるから俺も仕方なく着いていく。
何事もなく外にでれたけど、もしludvigが襲ってきたらどうしようかとか
そんなありえない最悪の展開まで想像するほど怖かった。笑
さて、そのあとはLudvigのお父さんの家に行く。
お父さんとお母さんは10年前に離婚したけど、
今は嫌い合っても愛し合ってもないため同じ町に別居してるらしい。
たまにご飯も一緒に食べるとか。
BTW,ところで、
今まで素晴らしく面倒見の良いホストファミリーに囲まれて素晴らしい景観の街で暮らしてきたけど、
同時に
これでいいのか
と違和感を感じていた。
そう、過ごしやすい温室で暮らしているが故に
中央アジアのようなクレイジーな刺激がないのである。
そこでこんな経験をすることにした。
みなさん、シュールストレミングをご存知だろうか。
これは有名な作曲家とかそんな立派なものの名前じゃなく、
Googleで「世界一臭い食べ物」と検索すると確実にこれがでてくる、そんなものの名前だ。
テレビでも紹介されてた、腐ったニシンが入ったあの缶詰めだ。
あれは実はスウェーデン発祥。
これにトライする。
スーパーでは手に入らなかったから、お父さんが買ってきてくれた。
まず缶を開けるに際して、家の中で開けると強烈な臭いが染み付いてしまう。
だから外で開ける。
しかも缶の圧力が極めて高いため、水の入ったバケツの中で開けないと顔面に飛び散ってしまう。
さて、開けよう。
開けた瞬間、
無意識に口呼吸になっていたが、鼻から空気を吸い込んでみる。
「ゔっ」
これが俺の第一声。
うっ じゃなくて ゔっ
である。
なんて言えばいいのか、この世のものとは思えない臭い。しかも強烈。
激しい汚臭があたりに広まる。
さて、開けたらこれを食べなきゃいけない。
ナンみたいなやつとジャガイモと一緒に食べる。
お父さんは美味しそうに食べる。
この世の人間とは思えないけど普通のスウェーデン人だ。
ひとまず皿にのせてから手をつけるまでに10分くらいかかった。勇気がいる。
一口食べる。
最初の瞬間の口当たりは刺身と同じ。
次の瞬間ゴムが腐りに腐ったような味が突撃してくる。
吐きそうになったけどこらえて噛み砕いて飲み込む。
残念ながら一口でギブアップ。
お父さんもさすがにそんなにたくさんは食べられないらしい。
保存すると部屋の中が大変な臭いになるからトイレに捨てることになる。
もったいないけどこれを作ったやつが悪い。悪意を感じる。
そのあと普通にソーセージとかチーズケーキとか頂いたけど、
部屋に臭いが充満しててとてもじゃないけど味わえなかった。
帰りはホストファミリーの家まで送ってもらった。
こっちで出会うスウェーデン人は本当に素晴らしい人たちばかり。
日本に招いたときに同じことができるかと言われると自信がない。
Ludvigはお金をためて彼女と日本に来るらしいからその間に自分磨きですね。